すごいぞ!統計分析 ~食わず嫌いから脱却しよう(前編)~
グローバルな視点から、日本企業はデータ活用力に劣るという報告を
目にする機会が増えてきました。
ガートナージャパン社の調査¹)によると、日本の企業では
デジタル・トランスフォーメーション (DX)の旗印を掲げるものの、
現場でのデータ利活用となると、その企業姿勢や組織体制が整っていない企業が
多いことが示されました。
加えて興味深いことに、KKD(勘・経験・度胸)を重視する比率は、
上位の役職(最高責任者、シニアマネジャー、重役)で67%、
下位役職(ジュニアマネジャー、下位管理職)で41%という報告があります²)。
つまり、データ(事実)を重視する比率は上位職で33%、
下位職で59%に過ぎないということです。
この数字を好意的に捉えるなら、上位職の数値は、高度な意思決定に
100%の正解はないことの証左でしょうし、下位職のデータ活用度が比較的高いのは、
上位職へレポートする際に高い正確性が求められるから、と解釈できます。
一方、批判的に捉えると、職位によらずKKDに頼り過ぎていて、
意思決定の精度が低すぎはしないか、という不安が湧き上がります。
この不安は、日本の失われた30年にもつながります。
欧米の見本を追いかけた高度成長期を過ぎてバブルが崩壊し、
お手本を見失って正しい意思決定やゴール設定ができなかったのは、
KKDに頼り過ぎたこともその一因と言えそうです。
ビジネスの意思決定においては、直感と論理、いずれも大切です。
データは過去に「すでに起こった事実」を示し、その挙動から
将来をある程度予測することも可能です。しかし、これはあくまで
「予測」に過ぎませんし、確実に正解であるという保証はどこにもありません。
上位マネジャーの役割は、データから得られる洞察と自分の経験を
バランスよく活用し、未来に向けて最善の意思決定を行うこと、
そのためには「データ分析で何を捉えることができるのか」を、
少なくとも知っておかねばなりません。
一方、上位マネジャーが必ずしも自分でデータ分析を行う必要はありません。
部下や外部の専門家、データアナリストに任せる方が生産性は高いことも多いでしょう。
さて、上記のことを、日本企業は理解していないのでしょうか。
いえ、そうではありません。
では、なぜ踏み込めないのかというと・・・
私の仮説は「食わず嫌い」です。
私自身が様々な企業の担当者との対話を通して肌で感じるのは、
データ分析のパワーを知らない「無知」や知ろうとしない「無関心」、
難しくて面倒くさそうだという「思い込み」が、活用を阻害する
大きな要因になっているのではないか、という点です。
私たちは、この「食わず嫌い」を「おいしい!」に変えるための研修を
ご提供しています。身近なExcelで定量データ分析スキルを学び、
さらに問題解決への活用法を身につける実践的な構成です。
コピー&ペーストと四則演算(+-×÷)ができれば、どなたでも受講可能です。
後編では、ビジネスの様々な分野(経営、人事、総務、営業、マーケティング、製造、R&D)で
どのように統計分析が役立つのか、触れてみたいと思います。
【出典】
1) プレスリリース . ガートナー社 . 2024 .
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20240129 ,(参照 2024-4-27)
2) データドリブン経営改革 . 保科学世 . 日経BP 日本経済新聞出 , 2022
- 2024/04/30
- コンサルティング
- 投稿者:河野 貴史