女性活躍の変遷
女性活躍推進法の改正により、
従業員101人以上の事業主は
男女間賃金差異や女性管理職比率等の公表が
義務となります〔改正女性活躍推進法〕。
これまでにも、
男女雇用機会均等法、
育児・介護休業法、働き方改革関連法、
と社会において女性活躍が推進されてきました。
弊社でも女性活躍に関する研修のご要望を数多く頂き、
多数実施してきております。
さて、女性活躍を考える際に、
必ずあがる議題が 家庭と仕事との両立 です。
この議題の歴史的背景は一体どのようなものなのでしょうか?
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まず、歴史を通して、日本だけではなく世界的に多くの社会で
下記の分業が形成されてきました。
•生産(外で稼ぐ)は「男性」
•再生産(家の中のケア)は「女性」
その背景には下記のような事情があります。
•妊娠・出産による身体的制約
•筋力差(特に前近代の手作業中心社会)
•戦争・防衛を男性が担うことが多かったこと
•父系相続(財産を男性側に継承する制度)
この分業はしばしば
「男性が家族を養う」という家父長制と結びついていました。
日本も基本的に下記を背景として、
かなり強い家父長制が制度化されていました。
•武士社会:強い家父長制
•明治民法(1898年):戸主権を男性に集中
農村では女性も重要な労働力でしたり、商家では女性が経営に関与することもありましたが、
戦後の高度経済成長期の戦後のサラリーマン社会で、
「男性が外で稼ぐ、女性は専業主婦」という形が強く固定化されました。
しかし、今日では社会で活躍する女性が増加したことで、
このモデルが大きく変化しています。
家庭内で主に女性が担っていた再生産(家の中のケア)労働が、
女性が家の外にでることで可視化され、
家庭と仕事との両立という議題があがるようになったのです。
社会で活躍する女性が年々増加していることに伴い、
「家庭との両立」という課題は女性・男性関係なく、
今日では 働く人全体 の課題となっています。
これまでは貨幣経済モデルの中で、
市場(有償労働)と家庭(無償ケア労働)を主に性別で分けていましたが、
その分け方が当てはまらなくなってきているのが現状といえます。
従来:
•男性=市場労働
•女性=家庭内ケア
•社会はケア労働を家庭に依存
女性の就労拡大している現在:
•ケア労働の担い手が家庭内にいなくなった
•無償労働の存在が可視化
•少子化が進行
これは「女性の問題」ではなく、
社会の再生産(ケア労働)を誰がどう支えるかという社会的な構造問題です。
さて、この後の方向性はどうなっていくのでしょうか。
世界的にみると、大きく3つの方向性に分類できるようです。
A. 市場化モデル(アメリカ型)
•ケア労働を市場に委ねる(ベビーシッター、家事代行、民間保育、介護事業等)
•自己責任色が強い
問題点:高所得層は解決できるが、格差が拡大
B. 家族依存モデル(日本・南欧型)
•女性の両立努力に依存
•長時間労働は変わらない
•保育整備は部分的
問題点:少子化が深刻化しやすい
C. 北欧モデル(再設計型)
•国家がケアを社会化
•男女ともに短時間労働が可能
•育児休業の父親割当(パパクオータ制)
問題点:高い税負担、移民労働への依存
この後の日本も日本独自の文化や背景・事情に即したかたちで、
方向性としては北欧モデル型に向かっていくのかもしれません。
北欧モデルにも問題点はあるものの、
ケア労働を「個人の責任」から「社会の責任」へ移したことで、
下記のことが実現されました。
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① 「女性活躍=経済成長」という循環
労働力が倍近く活用⇒GDPが押し上げられる⇒税収が増え、福祉が回る
② 出生率が比較的安定
「子どもを持つとキャリアが終わる」社会ではない
両立可能な制度が出生行動を下支え
③ 男性のケア参加が進む
④ 低貧困率
共働きが基本、児童手当が手厚い、保育費が安いことで、
子どもやシングルマザーの貧困率も低下
⑤ ケア労働が社会的に評価される(国家が責任主体)
保育士・介護士が公的職業として安定
⑥ 働き方改革
長時間労働が少ない、有給消化率が高い、ワークライフバランスが標準化
⑦国家の社会的信頼が高い
税金が高くても納得感があるため国家への信頼が高い
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過渡期にあたる現在の日本では、性別にかかわらず議論を行い、
それぞれが考えを深めていくことが大切な時期なのかもしれません。
弊社で行っている女性活躍、女性キャリア研修は、
受講者の皆さまの真摯な姿勢もあり その議論のための
とても有意義で貴重な場となっていると感じております。
研修に関するお問い合わせも承っておりますので、
どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
- 2026/02/25
- コンサルティング
- 投稿者:アソシエイツ室 鈴木

