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生産性向上~統変廃(とう・へん・はい)の実践~

皆さん、生産性を上げたいと思うことは

仕事ではよくある話ですよね。

 

ですが、現実には

「もっと効率化しよう!」と意気込んだはずが、

むしろ仕事量が増える一方で、

 

「残業が減らない…」

「ランチに行く時間もない…」

 

なんて嘆いている職場も少なくありません。

 

そもそも、企業は右肩上がりに

売上や利益を伸ばすのが宿命ですから、

新たな施策を打つたびに業務が積み上がり、

その分だけ管理工数や調整コストも膨らんでしまうわけです。

そうなるとメンバーは自分のタスクに手一杯になり、

コミュニケーションが滞り、仕事が属人化して“負のループ”に陥ります。

 

これを断ち切るのが、リーダーやマネージャーに求められる

「統変廃(とう・へん・はい)」の勇気ある実践です。

 

次にご紹介する3つのチャレンジを通じて、

不要なムダをそぎ落としながら、

本当に価値ある仕事だけにフォーカスする仕組みをつくりましょう。

 

1.統(統合・集約)
まずは情報やプロセスを一つにまとめる段階です。

(例)
【ツール統合】

複数のタスク管理ツールを1本化し、担当者・期限を共通プラットフォームで可視化。

 

【フォーマット集約】

議事録や報告書のテンプレートをチームで統一し、「どこに何を書くか」を迷わない環境を整備。

これで「資料を探す」「書式を確認する」という事務的な時間を大幅に削減し、

メンバーは本質的な仕事―アイデアの創出やチームサポート―にエネルギーを注げます。

 

 

2.変(変更・改善)
従来の手順をアップデートし、よりシンプルかつスピーディに進める工夫を加えます。

(例)

【自動化の活用】

マクロやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で定型作業をワンクリック化。

 

【ファシリテーション手順の逆転】

冒頭にワークを試し、その後で解説を行う“逆順”手法で理解度を加速。

新ルールを導入する際は、必ず「1つ入れたら2つ廃止」の2対1ルールを適用。

新旧バランスを保つことで、総工数の純増を防ぎます。

 

 

3.廃(廃止・排除)
最後は思い切って不要なものを捨てるフェーズです。

(例)

【会議の廃止】

報告だけならチャットに移行し、本当に対面が必要な議題に絞る。

 

【承認ステップの削減】

「劣後順位リスト」を作り、影響度の低い決裁や承認から優先的に削除。

不要なプロセスを断捨離すれば、その分「企画」「改善」「教育」といったクリエイティブな時間が確保可能。

チームにも「意味のある仕事だけやっている」という高いモチベーションが生まれます。

 

 

<実践のコツ>

   1.小刻みPDCA
1週間ごとに「統→変→廃」のミニサイクルを回し、効果を確認→改善。

 

   2. 劣後順位リストの共有
チームで「捨ててよいもの」をリスト化し、合意のうえ順に廃止。

 

   3.成功体験の見える化
月次ミーティングや社内報で「統変廃チャレンジ」の成果を発表し合うと、横展開が加速します。

 

 

これら「統合・変更・廃止」を大胆に繰り返しつつ、

「劣後順位」を常に意識することで、変革の波に乗りながら

不要なムダを確実にそぎ落とせます。

 

但し、必要な品質を落としてはいけません。

下げても影響が少ない品質を優先すべきです。

 

余談ですが、

トランプ大統領は就任10日後の2017年1月30日にEO 13771に署名し、

「新規規制1件を出すごとに既存規制2件を廃止せよ」という

“2対1ルール”を打ち出しました。

 

これを受けて各省庁は廃止候補の洗い出しに奔走し、

特にEPA(経済連携協定)では2017会計年度に16件の規制を廃止しつつ、

1件の新規規制を発出──

2対1どころか16対1の比率を達成したと報告されています。

 

一方、弊社も2020年のコロナ禍でオンライン研修が急増すると予測し、

早々にさらなる配信スタジオ用として、ビルをワンフロア追加契約しました。

 

結果として、オンライン研修の急拡大に対応し、創業以来最高の売上を達成。

ミーティングスペースや社長執務エリアといった小さな私のロマンも実現できた瞬間でした。

しかしあれから5年・・・

 

現在では対面研修の増加に伴い、オンライン研修の割合が減少し、

追加フロアの賃料負担について検討が必要な状況となっています。

 

そこで、この8月をもって追加契約したフロアを1つ、【廃止】する決断をいたしました。

 

たかが1フロアの解約かもしれませんが、機能性だけでなく、

創業者としての私個人の“ロマン”が詰まった特別な場所でもあり、少し寂しい気持ちもあります。

 

とはいえ、経営には「攻め」と「守り」、両方の決断が不可欠です。

「統変廃」を念頭に、時には情緒を断ち切り、小さな決断から大きな決断へと踏み込まねばなりません。

 

常に「ロマン」と「そろばん」を同時に考え、行動することが求められるのです。

 

みなさんも、まずは今日から、「統変廃」の小さな一歩を踏み出してみませんか?

それが皆さんと組織の生産性を一気に跳ね上げる鍵になるはずです。

 

 

 

葛西 伸一

 

 

  • 2025/06/26
  • 社長コラム
  • 投稿者:葛西 伸一